1. はじめに:「買い物禁止」で挑んだ理由
世間では「リメイク版は簡単すぎる」という声も聞く。
ならば、「店での購入禁止(くじ引き含む)」という枷をはめれば、かつての緊張感が戻るのではないか? そんな理屈っぽい実験としてスタートした今回の旅。
結論から言えば、「序盤の掴みとしては最高のバランス」になり、後半は「探索の喜び」を再確認する結果となった。
本レビューは「通常エンディング」到達時点での評価となります。
(クリア後の追加ダンジョンや裏ボス等の要素は含んでおりません。「シドー討伐」までの道のりの評価です。)
2. 難易度とバランス:「即死」と「対策」のシーソーゲーム
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序盤の緊張感: 薬草一つ、装備一つが買えないため、雑魚戦すら命がけ。リソースが枯渇する恐怖は、まさにサバイバル。
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後半のバランス: 詰むことはなかった。なぜなら、強力な装備は「宝箱」や「メダル王」から手に入るからだ。探索さえ怠らなければ報われる、RPGの基本設計がしっかりしている。
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戦闘の激化: 敵の火力は高く、後半は2〜3回行動が当たり前。ローレシア王子ですら痛恨で即死する。しかし、「凍てつく波動」がない(通常ED時点)ため、スクルト・フバーハ・マジックバリア等のバフを維持し、役割分担を徹底すれば勝てる。「理不尽」ではなく「大味だが攻略可能」な良調整だと感じた。
3. ロンダルキアの悪夢は去ったのか?
かつてのトラウマ、「ロンダルキアへの洞窟」と「台地」。
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洞窟: ボリュームは十分だが、オートセーブのおかげで「死んだら数時間がパー」という絶望はない。おなじみの無限ループや新要素もあり、ダンジョンとしての完成度は高い。あと、地面に突き刺さる「いなずまのけん」の演出は最高だった。

突き刺さったいなずまの剣。いい演出です。
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台地(ザキ対策): 恐れていたブリザードのザラキだが、本作ザキ・ザラキの命中率が低く設定されているようで脅威にならず。レベルが上がっていたのもあるが、あそこは「理不尽な死にゲー」ではなくなっていた。

ロンダルキア、洞窟を抜けた後も地獄であったがそれは過去の話
4. キャラ評価:サマルトリア王子の「汚名返上」
今回のリメイク、キャライメージはそのままに大幅な性能調整がされていた。
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ローレシア王子(アタッカー): 「やいばくだき」で敵の火力を削ぎ、ここぞという時にバフを盛って殴る。シンプルにして最強の矛。
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サマルトリア王子(守護神): かつての「器用貧乏」はどこへやら。 ギガデイン、ベホマズン、ザオリク、スクルトを使いこなす。雑魚掃除からボスの立て直しまで、彼なしでは旅が成り立たないレベルの「最強の守護神」へと進化した。
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ムーンブルク王女(万能サポーター):これまでのDQ2同様に イオナズン、バイキルト、ザオリク、ベホマラー。さらに今回はキラキラポーン(状態異常防御)まで。HPが低く事故死しやすいが、攻撃・回復・補助のすべてを高水準でこなす。
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新キャラ・サマル王女(補助特化): スクルト・フバーハ・おうえん・MP回復特技やメガザルダンスが強力。後半、何度彼女の踊りに救われたか分からない。

今作サマルは勇者の名にふさわしい活躍
5. ストーリーと総評:4人の旅路
これまでの記事でも述べているようにストーリーは丁寧に補完されており、行間もしっかり描かれていた。
サマル兄妹が少々出しゃばりな感もあったが、「若者4人の旅」と考えれば悪くない。
人魚関連など「どこかで見た」既視感のある追加要素もあったが、全体として「旅・冒険している感」は損なわれていなかった。
■「一枚岩」ではない敵、結束する勇者たち
今作で特に印象的だったのが、敵側の描写の解像度が上がっていたことだ。
これまでは単なる「ボスキャラの列」に過ぎなかった悪霊の神々(アトラス・パズズ・ベリアル)だが、彼らは決してハーゴンの「仲間」ではない。
あくまで「ハーゴンに使役されているだけの存在」として描かれている。
忠誠心や友情で結ばれているわけではなく、そこにあるのは冷徹な契約か、あるいは恐怖による支配か。
対して我々ロトの子孫たちはどうだ。
買い物禁止という縛りプレイの中、薬草ひとつ満足にない状況で、互いにスクルトをかけ、傷つけばベホマズンで癒やし、命がけで庇い合ってきた。
「支配による偽りの結束」(敵)と、「生存本能と信頼による真の結束」(味方)。
この対比が明確になったことで、単なる勧善懲悪の物語に「組織としての厚み」が生まれ、エンディングの達成感がより一層増したように思う。
■総評
「買い物禁止」でも詰むことなく、むしろ装備を拾った時の喜び(ドーパミン)が増幅された。
ヌルいと感じる人は、ぜひこの縛りで遊んでみてほしい。サマルトリア王子のベホマズンに感謝する日が来るとは、ファミコン時代の私は想像もしなかっただろう。
■まだ冒険は終わらない
エンディングを迎えたが、どうやらこの世界にはまだ「クリア後」のイベントやダンジョンが用意されているようだ。 通常EDまででこれだけのボリュームと調整だ。裏ボスがどれほどの絶望(褒め言葉)を見せてくれるのか、引き続き「買い物禁止」を貫きつつ堪能したいと思う。(まぁ、福引くらいは解放しようかな。)
「サマルトリアの汚名返上」を、その目で確かめろ
「サマルは弱い」「ロンダルキアは理不尽」。そんな記憶のまま止まっているなら、あまりに惜しい。
リメイク版ドラクエ2は、大人が楽しめるバランスと、4人パーティならではの戦略性が詰まった良作だ。
私が実践した「買い物禁止」縛りもおすすめだが、まずは普通に遊んで、頼もしくなった彼らの姿を見てやってほしい。
▼PS5版:高画質で描かれるロンダルキアの絶景を
▼Switch版:携帯モードでレベル上げを快適に
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