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生活改善・節約

物価高に負けない唯一の生存戦略|なぜ今、我々は「自炊」に回帰すべきなのか

1.はじめに:止まらない物価上昇と、上がらない給料という現実

 

スーパーに行くたびに、商品の値段が上がっている。先月と同じものを買ったはずなのに、会計はなぜか高くなっている…。この厳しい現実に、多くの人が気づいているはずだ。

インフレ、つまり物価の上昇は、我々の資産を静かに、しかし確実に蝕んでいく。 もちろん、このインフレ率以上にあなたの給料が伸びているのであれば、何の問題もない。しかし、そんな幸運な人間が、この国に一体どれだけいるというのだろうか。

給料が上がらない以上、我々が取るべき行動は2つしかない。
① 支出を徹底的に抑えること。
② 抑えて浮いたお金を、インフレに負けない資産に変えること(つまり、投資に回すこと)。

今回は、このうちの①、特に多くの家庭で聖域化されがちな「食費」という名のコストに、どう切り込んでいくかについて語りたい。

 

2.なぜ「食費」に切り込むのか

 

これまで、私は固定費の見直しについて語ってきた。光熱費、保険料、そしてサブスク。これらは一度見直せば、効果が永続する非常に重要な項目だ。

しかし、それと同じくらい、あるいはそれ以上に家計を圧迫しているのが、日々の「食費」ではないだろうか。 固定費の見直しは当然として、この流動費の最大項目である食費をコントロールできなければ、我々の家計防衛は完了しない。

 

3.食費を抑える、たった一つの絶対的な答え

 

では、どうすれば食費を抑えられるのか。 外食チェーンのクーポンを使う?特売品を狙ってスーパーをはしごする? そんな小手先のテクニックは、時間と労力の無駄だ。

結論は、至ってシンプル。 「自炊」である。 そして、その対極にある「外食」を、生活から可能な限り排除すること。

考えてみてほしい。ランチで外食すれば、安くても700円、800円はかかる。夜に飲みにでも行けば、数千円が簡単に吹き飛ぶ。 一方、自炊ならどうだろうか。スーパーで食材を買えば、一食あたり200円、300円に抑えることも十分に可能だ。特に、ランチは前日の夕食の残り物を活用した「弁当」に切り替えるだけで、劇的な効果が生まれる。

この差は、あまりにも大きい。 「時間がないから」「面倒だから」という言い訳で外食に逃げるのは、自らの資産をドブに捨てているのと同じ行為なのだ。

 

4.自炊の「面倒」を乗り越える合理的思考法

 

「でも、自炊は面倒くさい…」 その気持ちは分かる。特に、最も面倒なのは「献立を考える」という知的労働だろう。仕事で疲れた頭で、栄養バランスや冷蔵庫の中身を考えてメニューを決めるのは、確かに骨が折れる。頭の中に無限の選択肢が広がると、かえって何も選べなくなってしまうのだ。

だから、その「選択肢」を意図的に狭めることが重要になる。
まずは、その日の自分の気力に応じた「レシピのレパートリー」を物理的なメモやスマホのアプリでリスト化していくことをお勧めする。

  • 気力レベル1(疲労困憊): 卵かけご飯と味噌汁だけ。
  • 気力レベル2(少し余裕あり): 豚肉と野菜を炒めるだけ。
  • 気力レベル3(元気): 少し凝った料理に挑戦してみる。

このように、自分だけのレシピ帳を作り、「今日はこのリストの中から選ぶだけ」という状態にすれば、「献立を考える」という意思決定の負荷は劇的に軽くなる。

 

5.月1万円が生み出す、驚くべき「未来の価値」

 

もちろん、どれだけ食費を削れるかは、家庭の状況によって大きく異なるだろう。我が家の場合、外食をほぼゼロにすれば、月1万円のコストカットは現実的な目標だ。しかし、誰もが同じ状況ではないことも理解している。

だが、ここからは思考実験だ。 仮に、あなたが自炊を徹底し、月1万円という「種銭」を生み出すことに成功したとしよう。この「月々1万円」という金額の、本当の重みをあなたは理解しているだろうか。

もし、この月々1万円を、多くの専門家が現実的と考える「年利5%」で、NISAなどを活用してコツコツと複利運用したとしよう。

  • 10年後には、元本120万円が、約155万円に。
  • 20年後には、元本240万円が、約400万円に。
  • そして30年後には、元本360万円は、なんと約818万円にまで膨れ上がるのだ。

これが、アインシュタインが「人類最大の発明」と呼んだ、「複利」の力だ。 日々の自炊という地道な行動が、数十年後には数百万円という圧倒的な差を生み出す。

今日のランチを外食で済ませるか、それとも弁当にするか。その選択は、単なる数百円の差ではない。未来の数万円、数十万円を左右する、極めて重要な「投資判断」なのである。

 

6.インフレ時代の消費哲学:「未来の価値」で、今の支出を判断する

 

この思考法は、食費だけに留まらない。 あらゆる支出の前に、一度立ち止まってこう自問する癖をつけることが、インフレ対策として極めて重要だ。

「この支出は、本当に必要か?」

そして、

「この1万円を、今ここで『消費』してしまうのか。それとも、未来の数万円に育つ可能性を秘めた『種銭』として『投資』に回すのか。自分はどちらを選ぶべきだ?」

目の前の1万円は、ただの1万円ではない。何もしなければインフレで価値が目減りしていく一方で、正しく投資すれば価値が増えていく。その岐路に立たされた「未来の価値を秘めた種銭」なのである。

7.まとめ:インフレの海を生き抜け。未来のために、キッチンに立て。

 

物価はこれからも上がり続けるだろう。我々の資産価値が日々目減りしていくインフレの時代において、思考停止で昨日と同じ生活を続けることは、緩やかな後退を意味する。

この厳しい時代を生き抜くために、我々に残された道は、自らの手で生活をコントロールし、インフレに負けないキャッシュフローを自ら作ることだけだ。

まずは、今日の昼食、今日の夕食から見直してみてほしい。
その一食を自炊に変えるという小さな行動が、あなたの家計を、そして未来をインフレから守る、確実な第一歩になるのだから。

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