1.はじめに - 7年ぶりの狩猟生活、期待と厳しい現実
最近、待望の新作『モンスターハンターワイルズ』が発売されました。私にとって「モンハン」は約7年ぶり。2018年に発売された『モンスターハンターワールド』をプレイしたものの、当時ネルギガンテを倒したあたりで、シリーズ独特の“もっさり”としたプレイヤーの挙動と、直感的とは言えないUIに馴染めず、挫折してしまった経験があります。
「あれから7年。最新作の『ワイルズ』なら、きっとあの頃の不満点は解消され、洗練された狩りが体験できるはずだ」――。そんな淡い期待を胸に、私は再び狩りの世界へと足を踏み入れました。
正直に言うと、ゲーム序盤は面白かったです。「ああ、これだよこれ」と狩りの楽しさを思い出す瞬間もありました。そして、過去に挫折した私でも、今作はエンディングまでたどり着くことができました。しかし、それは決してゲームの面白さにのめり込んだからではありません。単純に、ゲームのボリュームが短かったからです。
本記事は、7年ぶりに復帰したハンターが感じた、かなり辛口なレビューとなります。一個人の正直な感想としてお読みいただければ幸いです。
2.『モンスターハンターワイルズ』とは?(概要)
『モンスターハンターワイルズ』は、カプコンから2025年2月28日にPlayStation 5、Xbox Series X|S、Steamで世界同時発売された、「モンスターハンター」シリーズの最新作です。
この作品は、以下のような点で注目を集めていました。
- ダイナミックに変化する広大なフィールド:天候や環境が刻一刻と移り変わる「禁足地」と呼ばれる世界が舞台。広大なフィールドがシームレスに繋がり、探索や狩猟に新たな体験をもたらす。
- 新要素「セクレト」と進化したアクション:新たな乗用動物「セクレト」での移動中のアクションや、狩猟中に武器を切り替えられる「武器鞄」など、狩猟体験をより深くする新要素を導入。また、「集中モード」により、モンスターの弱点を狙いやすくなるなど、アクション面も進化。
- リアルな生態系と没入感:モンスターたちのよりリアルな生態が描かれ、大型モンスター同士の争いなども発生。拠点からフィールドへのロードがシームレスになるなど、途切れることのない没入感を追求。
- シリーズ初のクロスプレイ対応:異なるプラットフォームのプレイヤーとも一緒にオンラインで狩りを楽しめる。
これまでのシリーズの魅力を踏襲しつつ、広大な世界と進化したアクション、そして没入感を追求した本作は、新たな狩猟体験を提供する一作として期待されていました。
3.なぜ楽しめなかったのか? - 私が感じた5つの大きな不満点
序盤の楽しさも束の間、プレイを進めるうちに、私の中では数々の不満が膨れ上がっていきました。
3.1. 「未完成商法」への嫌悪感:フルプライスに見合わないボリューム
まず、ストーリーをクリアするまでの時間が非常に短く感じました。最近のゲームの売り方なのでしょうが、この程度のボリュームで約1万円というフルプライスで販売し、定期的(?)なアップデートでモンスターを追加していくという手法が、私は心底嫌いです。 まるで「未完成品」を売りつけられ、今後のアップデートを人質に取られているような感覚。これは満足感よりも、メーカーへの不信感と嫌悪感しか残りませんでした。
3.2. 期待外れの「広大な世界」:がっかりした世界の狭さ
私が本作に一番ワクワクしていたのは、「広大な世界でモンスターを狩る」というコンセプトでした。しかし、実際にプレイして待っていたのは、深い失望です。狩るモンスターが変わるだけで、結局はいつも同じような場所を駆け回っているだけという感覚。景色の変化に乏しく、世界の広がりを全く感じられませんでした。この世界の広がりのなさには、本当にがっかりしました。
3.3. 共感できないストーリー:「成長物語」がむしろ苦痛に
『ワールド』よりはストーリーに力を入れている意図は感じられましたが、物語の中心である少年ナタの成長物語には全く共感できず、その言動に「鬱陶しい」とさえ感じてしまい、うんざりしました。
3.4. 進化なきUIと自己反省:これは高い授業料
7年前に『ワールド』で挫折した大きな原因の一つが、分かりにくいUIでした。そして、その印象は今作でも何一つ変わりませんでした。アイテム管理も装備作成も、何をするにも分かりにくい。 とはいえ、この点については、体験版の時点でしっかり見抜けなかった私の落ち度でもあるのでしょう。今回の出費は、自分への高い授業料だったと割り切るしかありません。
3.5. クリア後の虚無感:装備強化の先に目標が見えない
クリア後は、特定のモンスターをひたすら周回して素材を集め、装備を強化する…という流れになります。しかし、苦労して最強クラスの装備を揃えたとして、「その装備で、一体何を狩るのか?」という問いにぶつかり、モチベーションが完全に途絶えました。この虚無感を覚えてしまうと、もう私には単調な作業を続けることはできませんでした。
4.数少ない良かった点:武器を使いこなす楽しさ
辛口な意見ばかりが続きましたが、公平を期すために、私がこのゲームで唯一、純粋に「楽しい」と感じた点についてお話しします。それは、武器を使いこなせるようになっていく過程です。
私は今回、武器に「ハンマー」を選んでプレイしていました。最初は、モンスターの素早い動きに翻弄され、なかなか思うように攻撃を当てることができませんでした。しかし、何度も狩りに出かけるうちに、徐々にモンスターの動きの予兆が読めるようになり、ハンマーの扱いに慣れてくるのです。
モンスターのわずかな隙を見つけて、狙いすました溜め攻撃を頭に叩き込み、スタンさせた時の快感。自分が「取りたい動き」を、思った通りに実現できるようになった時の成長実感は、確かに楽しいものでした。この武器習熟のプロセスがなければ、私はもっと早い段階でこのゲームを投げ出していたと思います。
5.総合評価(50/100)と結論 - なぜ私はもうカプコンのゲームに期待しないのか
さて、総括です。個人的な評価を点数にするなら、100点満点中50点。武器を使いこなす楽しさを加味して、かろうじて及第点、といったところです。
結局のところ、モンハン独特の文化やシステムが、私には合わなかった。7年経っても、その事実は変わりませんでした。そして、ボリューム不足をアップデートで補うという販売手法への不満が、その思いを決定的なものにしました。
もし、それでもこの『ワイルズ』が気になるという方がいるなら、個人的には大幅なセールで3,000円くらいまで安くなっているタイミングでなければ、とてもおすすめできません。
そして、私と同じように過去シリーズで挫折した経験があり、それでも今のモンハンに触れてみたいという方には、もっと良い選択肢があります。それは、前作の『モンスターハンターワールド』です。今ならもっと安価で、コンテンツも充実したバージョンが手に入ります。正直なところ、『ワイルズ』に高いお金を払うくらいなら、そちらを買った方が何倍も幸せになれると、私は思います。
ですので、私は今後、モンスターハンターシリーズを手に取ることはないでしょう。
そして、これは完全に個人的な意見ですが、昨年の『ドラゴンズドグマ2』といい、今回の『ワイルズ』といい、私の中でカプコンのゲームは、今もなお要注意であるスクエニと並んで「発売日にすぐ飛びつくのは慎重になるべきメーカー」という認識になってしまいました。
今回のレビューが、私と同じように過去にモンハンで挫折した経験のある方や、購入を迷っている方の一つの判断材料になれば幸いです。